『ラブという薬』
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2020-01
心身ともに常時健康そうに見える私でもときどき弱ってしまうことがある。人間だから仕方がない。不調を未然に防げれば何よりだけど、不調のときの自分とどう付き合うかを知っていた方がきっと生きやすい。体の不調の対応には慣れてくるものだけど、心の不調はみんなどうやって解消しているんだろう?
精神科医の星野概念さんと、星野さんのカウンセリングを受けているいとうせいこうさんの対談集である本書の中にそのほどき方をいくつか見つけた。人に話を聴いてもらうことで自分の思考のクセが見えてきたり、難しく考えていたことが実は単純なことだったり。SNSとの付き合い方や、速いものやビビッドなものがイケてるとされがちな今の世の中で、ゆっくり、地味であることの良さなんかも語られている。
自分が不調に陥ったときはもちろん、近くにいる人が悩みを抱えているときにも、知っていれば差し出せそうなヒントが散りばめられた、傾聴と共感、つまり愛という処方箋の本。
ラブという薬/いとうせいこう 星野概念