好きな風
2020-05
数年前に出会った1冊の本をきっかけに、私は短歌の虜になりました。
それから数年経った今でも、私は変わらず短歌が好きで好きでたまりません。
そんな素敵な短歌を、このコーナーで少しづつ紹介していけたらと思います。
もし、この先、皆さんがお気に入りの短歌に出会った時、その時はその歌を3回、口に出してみてください。そしたらその短歌は必ず、皆さんの人生のどこかでひょっこり現れるとおもいます。なんせ、1度覚えたら歌はなかなか忘れられないものですから。
ふとした時に思い出して、口ずさみたくなるような、そんなお気に入りの短歌と皆さまが巡り会えますよう願いを込めて。
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さて、そんなこんなで始まったこのコーナー。第1回目は、私が生まれて初めて手にした短歌集であり、冒頭にも書いた私を短歌の沼へと引きずりこんだ1冊、「サイレンと犀」(著:岡野大嗣)からお気に入りの歌を紹介したいと思います。
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「散髪の帰りの道で会う風が
風のなかではいちばん好きだ」
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私はよく電車を使うのですが、駅の風ってめちゃくちゃ強くないですか…?寝癖をちゃんと直して、髪の毛をまっすぐきれいにのばして家を出ても、駅に着けばその努力も水の泡。髪の毛はたちまち四方八方しっちゃかめっちゃかにやられてしまいます。その悔しさったらありゃしません。
でも、髪を切った日だけは特別。風が吹いても髪の毛はぼさぼさにならないし、むしろシャンプーのいい匂いがしたりなんかして、まるでモデルのように、颯爽と街をスタスタ歩いてしまいます。
散髪の帰りに吹く風が好き。なんてこの歌と出会うまで考えたこともなかったけど、たしかに好きだな、と。新たな発見です。
たった31文字。でもその31文字で世界がほんの少し広くなるような、そんな感覚も短歌の魅力の1つなんじゃないかと私は思います。
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この世の中には、まだまだ数え切れないほどの歌があって、これから先そんな愛おしい歌になるべく多く出会うことが私の楽しみでもあります。そんな楽しみを皆さまとこれから共有できたら、嬉しいです。
では、また次回この場所でお会いしましょう: )