『1989年のテレビっ子』
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2020-01
ゴッドタンのプロデューサーとして有名な佐久間宣行さんがMCをやっているオールナイトニッポン0を聴いた。
その日のゲストは、アメトーークやロンドンハーツのプロデューサー・加地倫三さん。お笑い番組や芸人について語るという内容。その最後に告知として、加地さんは次のアメトーークは「バラエティ観るの大好き芸人」と言い、佐久間さんは次のゴッドタンは「このネタで飲める!芸人がお笑いを存分に語れるBAR開店」だと言い、どちらもお笑い番組を語り合う内容で示し合わしたようだね、となってラジオ終了。 その後、どちらの番組も後追いだったがすぐに鑑賞。いやはや、ものすごく面白かった。ずっと笑っていた。「バラエティ観るの大好き芸人」はテレビ番組の面白さ、「このネタで飲める!芸人がお笑いを存分に語れるBAR開店」は芸の面白さを紹介していた。やはりテレビって面白いよね。というか、面白いテレビ番組は面白い。ぼくはそう思う。
「テレビ観ないんですよ」や「テレビ家にないんですよ」とか言っている人は案外SNSに勤しみ、ネットニュースを掘っている。そのソースはテレビ番組であることも多々ある。ぼくは観たいテレビだけ観て、SNSもチラ見する程度だもんで、今、何で炎上しているとか、ソーシャル的にこの人やこのネタが来ているということに疎い。けど、それでいい。そんな味気のないファストフードを食らうことに全然興味もないし。毒を食らわば皿までと言うが、毒にも薬にもならないカスみたいな情報やネタを食っても腹が壊れるだけだ。
1983年生まれのぼくのバラエティヒーローはとんねるずだった。「おかげです(でした)」「生ダラ」「ハンマープライス」「ラスタとんねるず」を観て、とんねるずや野猿のCDを聴き漁った。中学生で深夜ラジオっ子となるまでは、間違いなくお茶の間のヒーローだった。 「バラエティ観るの大好き芸人」の中で、めちゃイケの一番最初のSMAP企画は革新的だったと銀シャリ・橋本さんは言っていた。子どもの頃、その回をかじりつくように観て、この回に影響を受けて芸人になったやつは多いとも。その感覚はとても分かる。みんなナイナイ岡村さんが舞台装置に飛び乗った時ドキドキしたし、みんな岡村さんがコピーした中居くんのダンスを真似していた。 スマホファーストなこの時代にテレビっ子は、もはやいない。みんなYou Tubeを観ていて、またYou Tuberになりたいらしい。You Tuberのプログラムを観ても何一つ面白くない。この先どうなるの?ってドキドキ感はディスプレイ越しにはないし、期待されていないのかな。今やテレビの中にも、ほぼない。じゃあ、どこかにあるのか?そのドキドキ感、そしてメディアとしての面白さがあるのは、ラジオだ。結局、ラジオ。最終的に、ラジオ。ラジオ、最高!ラジオ、マーベラス!本書はラジオの話ではないが、テレビ番組でのドキドキ感を味わうなら今はラジオしかないと思う。とはいえ、本書を読み直して「バナナマンのバナナムーン」と「おぎやはぎのメガネびいき」にサプライズで出演したとんねるず石橋貴明回を聴くと、かなりグッとくると思う。バラエティの希望は、著者名通りてれびのスキマにあるのかもね。
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戸部田 誠(てれびのスキマ)「1989年のテレビっ子」