『男どき女どき』
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2020-01
女流作家が苦手である。なので、ほとんど読まない。
なんて書くと昨今、女性差別野郎!#MeToo!だのと石をぶつけられる可能性がある。それも辞さない。けど、苦手なものは苦手なのである。子どもの頃から、妻子持ちになってまでも。
しかし、例外もある。その1人が向田邦子だ。彼女の作品を読むと、人間や情景描写がいやという程思い浮かぶ。その冷静さというか、底意地の悪さというか。そのことを感じたのは、「男どき女どき」にも収録されている「ゆでたまご」というエッセーを読んで。中学・何年生かの教科書に掲載されていたのを、ひまつぶしに読んだのだと思う。「ゆでたまご」という話をかいつまんで言うと、愛とは何かや心温まるエピソード、なんだろうけどなんだろうけど。何というか、とにかく居心地の悪い感覚。おそらく、それは他の作品にも共通する自身の観察力と描写力なんだろう。とはいえ、そのことを鑑みても向田邦子は、間違いなく意地が悪い。だから私は、向田邦子よりも山田邦子の方が好きだ。
「男どき女どき」向田邦子