『復興の道なかばで —阪神淡路大震災一年の記録』
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2020-01
2019年現在、阪神淡路大震災から24年。当時小学6年生で山口県の実家にいる私にとって、1995年の地震とオウム事件は夢のような出来事で対岸の家事どころではない、自分が生きている世界とは違う、あまつさえフィクションとさえ感じるくらい実感の湧かないことだった。平凡な日常は続く。特に身の回りに大きな事件や悲しいことは起きずに。
しかし、2011年東日本大震災が起きたとき、私は病名ではないが軽い躁鬱状態になっていた。震災から1週間以上、仕事はストップし、ひたすらTwitterのタイムラインを眺め続けているうちに。何かをしないで、自分の日常をまっとうしよう。唯一、私がまともにとった選択肢。たくさんの困っている人に対して、とても無情なのかもしれない。それでも、何もしない自分を選んで良かったと思う。
Twitterで「被災地に元気が出る言葉を届けよう!」という投稿をはじめ、当時リアルタイムに生まれたクリエイティブ全てに吐き気を覚えた。同業者たちの何かできる自分、クリエイティブで世界を救うという事例に関与しなくて良かったと思う。もし今、当時そのようなことをしている奴と出会ったらぶっとばす。
少し日が経ち、ラジオ番組、たぶん「RHYMESTER宇多丸のウィークエンドシャッフル」で中井久夫先生の「復興の道なかばで —阪神淡路大震災一年の記録」という本が紹介された。
内容は、阪神淡路大震災当時の避難所で生活する人や支援者へのこころのケアや支援について。誰かを救うのは言葉じゃなく、クリエイティブじゃなく、人だ。そのことと向き合うための1冊を。
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「復興の道なかばで —阪神淡路大震災一年の記録」中井久夫