『君たちはどう生きるか』
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2020-01
ある朝、娘の朝ごはんが「円形のパン」2つだった。昨日買ったパン。
片方はうずまき型のシュガーパン(以降、Aパン)で、もう片方がじゃがいもパン(以降、Bパン)。味はそれぞれ違うが、どちらも円形。焼けば何でもおいしくなるバルミューダのトーストにぶち込んで3分程度焼いた。熱々のパンをそのまま娘に食わそうとしたら、「バカか、切れよ」と奥さん。2つの熱々円形パンを縦横1回ずつ切る。熱いがガマンする。つまり、4/4のパンが2つ出来上がった。
娘は寝坊助。朝ごはんがスタートした時点で、もはや食事の時間がほとんどない。AパンとBパンを1/4だけ食べて学校へ。娘が食べたのはAパン1/4、Bパン1/4。AパンとBパンを合わせて食べた割合は、2/8、つまり1/4。ふと気になったのは、それを算出する計算方法。1/4と1/4を食べたので、「1/4+1/4」なのか?と思ったが、答えは2/4、つまり1/2。いやいや、違う。
奥さんと2人で考えたが、朝から分数の計算が分からなくなる。とりあえず1/4×1/4=1/16、そして分子と分母を足してみるという分数初心者がやりがちな暴挙にも出てみた。しかし、分子と分母を足し算すると2/8、つまり1/4になる。ここからもうわけが分からなくなる。奥さんは「世界の謎に触れた!」とか「大発見!」と騒いでいる。もう一度、問題を整理する「AとBのパンを4つ切りにしました。それぞれ1かけら食べました。全体の何分の何ほど食べたでしょう?」。答えは1/4。それは明白である。目の前のパン残りを数えればすみわけなのだから。しかし、計算式が分からない。
こういう時はトイレに行って、一度リセットすると良い。それが功を奏した。計算式が分かった。計算式はこうだ、「1/4×2/2」。AとBのパンのひとかけらだから「1/4」。それに対して、AとBの「2種類のパン(分母)」を「それぞれ2つ(分子)」食べたから「2/2」である。自力でひねり出した。ドーパミンがスパークしている。これを奥さんに話したら、同じくスパークするぞと。で、話した。意味分からへん。もうええ。
「君たちはどう生きるか」に出てくるコペル君が世界の核心に触れた時、うちの奥さんに話さなくて良かったな、と。それでも、このような思考は大切だと思う。 だからこそ、「君たちはどう生きるか」は子どもから大人にとって必要なのだろう。 パンを食べることにも、世界の謎は隠されている。
「漫画 君たちはどう生きるか」 吉野源三郎(著)、羽賀翔一(イラスト)