『ぼくたちが選ばなかったことを、選びなおすために』
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2020-01
良い予感はあまりしない。また、人は彼に何を求めているのか、それも不可解である(聖人君主なのか?)。
ただそれ以上に彼の本や文章を受けつけないのは、ぼくが彼と同い年で、似たような職業で、似たような労働環境で、彼同様に家族がいるからだ。いやが応にも意識してしまう。死んだら家族はどうなるのか?もしくは家族の誰かと別れてしまったらどうなるのか?元来ぼくはアベンジャーズやゴジラを観て、ウェイウェイ!とだけ言ってくらしていきたいと考えている。最近、通り魔事件や交通事故のニュースが連日続く。本当に気が滅入る。それに意見する奴らも全員くたばれとすら思うほど、目障り耳障りだ。ウェイウェイ!できない。今、ちょっとばかし娘の体調が悪い。それでも最近新メンバーとして加入した犬のアクション(腹を見せて、ちんこ丸出しでもがいているなど)にみんなで笑う。その瞬間、咳も止まる。なるほど。ウェイウェイ!言って、健やかに生きるというのは、それだけで幸運なのかもしれない。 何の気なしに本を手に取った。それが本書。「彼」こと幡野広志さんが書かれた「ぼくたちが選ばなかったことを、選びなおすために。」だ。常々、うちのかみさんから幡野さんのことをおすすめされ、なんだったら京都のTOBICHIってところでやっていた展示も見た。彼に対して、正直迷惑している。彼自身は病気と向き合い、自分ができることを一生懸命やっていて本当に立派だ。ただ「じゃあ、お前はどうなの?いい父親してる?」って突きつけられている気がして「なんだばかやろう、このやろう」って首をカクカクさせながらたけしさんの口調で言いたくなる。幡野さんが悪いのではない。完全にこっち側の問題。「長州生まれ 深夜ラジオ育ち 伊集院好きはだいたい友だち」とフローをかますぼくの性根は腐っている。しかし、本を手に取って買った。なんだったら一回書店を出て、また店内に戻って購入するくらいだから何かあるのだろう。ただ、まだ読んでいない。良い予感はあまりしないから。たぶん、グッドデザインカンパニーの表紙デザインと、「ぼくたちが選ばなかったことを、選びなおすために。」というタイトル末尾の「。」が良かったのだろう。手に取った理由は、そんなもんだ。ひとまず6月末に公開される「スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム」を観てウェイウェイ!言ってから、読むかどうかを考える。それまでに、黒ヤギさんが読まずに食べちゃうかもしれないが、それはその時として。
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幡野広志「ぼくたちが選ばなかったことを、選びなおすために。」