『住まいの解剖図鑑』
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2019-10
この部屋での新生活に向けて寝室のレイアウトを考えていたとき、5年前に読んだこの本の、寝室についてのページにあるイラストが私たちの頭に鮮明に浮かんで離れなかった。
壁づけで置かれたベッドの通路側で男性がぐーすか寝ていて、その横、壁側で寝るために女性が両手を上げて枕めがけてダイブしているイラスト。「ベッドにダイビング」というコメント付きで。つまり、2人以上寝る場合、ベッドにダイビングする羽目にならないように、必ず両側に通路スペースをつくろうということが書かれている。
私たちはたった4畳の狭い寝室で、幅が狭めのシングルベッド2台(合わせてクイーンサイズ)を置きたかったけれど、両側にスペースを設けるのがキツキツだから、諦めて敷き布団にするべきかと、数週間も悩みに悩んでいた。
でも、私は突然、気づいてしまった…。
実家、クイーンベッドを壁づけで置いていたじゃないか。
不便なんてことなかった。よく考えてみると、もしも、両側にスペースがあったとしても正直、ベッドには眠気に身をまかせて最短距離で飛び込むだろうし、寝起きもノソノソゴロゴロしながら辿り着いたベッドの縁からおりるだろう。寝ぼけながらもわざわざベッドの脇に立ち、そっと横になるなんてお上品なことやってられない。
というわけで、私たちは「設計を始めて間もない学生たちがよくやる間違い」の寝室で毎日気持ち良くダイブして眠りについている。
設計者のために書かれた本を(だらしのない)生活者の腹で消化できた。
「ベッドにダイビング」は、じつは最高だったり。・
住まいの解剖図鑑(増田 奏)