『村上春樹、河合隼雄に会いにいく』
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2019-02
心理学者である河合隼雄さんと職業的小説家村上春樹さんの対談集です。
ページを横に三分割すると、真ん中に対談が記されていて、ページ上と下にそれぞれふたりによる言葉の定義や普段考えていることや意見が記されています。真ん中で対談を読み、その都度上下に目を移し、それぞれの考えをより詳しく知ることが出来ます。目の動きが上下真ん中と忙しくはなりますが、その分解説が詳しく腑に落とす段階をたくさん作ってくれています。なぜ、本を読むのか、それについて書かれた文章を読んだとき息を飲み、ページの隅をおりました。河合さんを知らない、村上さんを読んだことがないという人ももちろんいるでしょう。
対談の文章は、好きじゃない知らない書き手だとしても読んでみてほしいと思います。大人になると、他人の意見に静かに耳を傾ける機会は、日常生活で少なくなるからです。文章であるのに、その対談の中に「生きている感覚」を感じたのは初めてでした。(私に合っていただけかもしれませんが) もう河合さんから直接話を聴けないことが本当に残念です。この対談集は、ただの文字の配列が成された文章としてではなく、きちんと「耳を傾けることが出来た」初めての対談集でした。
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『村上春樹、河合隼雄に会いにいく』河合隼雄 村上春樹