『江國香織 とっておき作品集』
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2019-05
「ナツミ。ノーラがピュアなのは男のいいなりになるからじゃなくて、自分の気持ちに正直だからだろう?」
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江國香織の短編集。初読は大学2年生の夏、だったと思う。何だか毎日せかせかしていて、空気が重くて。ものを考えるいとまもないくらい、がむしゃらだったとも言えるけれど。
自分を伝える言葉を持ち合わせていないことにいらいらしていたのかな。手持ちの言葉じゃうまく伝えられないって思っていたのかな。そういう時期がたまにある。
『物語の復権』が好き。新しい感覚とか探していた言葉って、要は「物語」ってことなのかな、と。「情報」を伝えるんじゃなくて、誰かに何かを伝える時は、時として「物語」じゃなきゃ、どうしようもないのかもしれない。
恋愛小説は普段読まないのだけれど、読まなきゃ、という気分に(文字通り)襲われる時がある。このままじゃまずいぞ私、スイッチを入れろ、感度を上げろ、乙女モードを取り戻せ、という具合に。とりあえず愛嬌だ、と某先輩から言われた。でも、だんまりになっている時は察してほしい。私が言葉を探して選んでいるんだなって。『江國香織 とっておき作品集』江國香織