『水の精』
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2019-06
ウンディーネがこうして、いつまでもそのやさしい腕で、大好きだった騎士を抱きしめているのだ、と。
初読は大学3年生。独文学のY先生が、それはもうハンサムでイケメンボイスで、Y先生お目当ての女子学生で、講義室はいっぱいだった(決して誇張ではない)(かく言う私もそう)。いや、講義もおもしろかったです、もちろん。
本作には「水」の表象が散りばめられている。例えば、古来の伝承の中で息づく「水」の「女」の姿。セイレーンやローレライ、ギリシア神話にまで遡るその姿は妖しくも蠱惑的。
また「涙」を流すことは「魂(こころ)」を持つ者にしかできない。魂を持つ過程で流す「涙」と、魂を持つことで流した「涙」が、ウンディーネの魂そのものを表している。
ウンディーネ自身が「水」であることから、ウンディーネは周りを映す「鏡」にもなる。「女」を映す「水」の「鏡」。ウンディーネはあらゆる「女」を映し、「女」たちを収斂する存在だと考えられる(と、期末レポートにも書きました)。
ちなみに、講義のテーマは「ドイツ語文学に見る『恋愛』」。ハンサムがイケメンボイスで独文学の恋愛観や背景を語る講義。ノックアウトだった。毎回、コメントシートのフィードバックをしてくれた。どこまで好感度を上げるんですか、天井知らずですか先生、と思った。『水の精』フケー