『村上春樹、河合隼雄に会いにいく』
-
2019-04
フィクションは決して力を失ってはいない。何かを叫びたいという人にとっては、むしろ道は大きく広がっているのではないでしょうか。
・
高校1年生の時。『海辺のカフカ』を読んで、脳みそが爆発した。当時の私にはどうしても受け入れられなくて、パタンと本を閉じた。それから「ハルキこわいシンドローム」を患ってしまい、ハルキが新刊を出したというニュースのたびに、このことを思い出す。それほどセンセーショナルだった。
再会は高校2年生、か3年生。現文の授業で、どうしてもハルキ作品を読まねばならなかった。それが『カンガルー日和』。読めた。それから『ノルウェイの森』を読んでみて、読めた。むしろ好ましかった。
何で読めたんだろう。そのもやもやを、この本で解けた気がする。特に「因果律をこえて」と「暴力性と表現」を読んで、なるほど、と思った。だから私はあの時『海辺のカフカ』が読めなくて、今になって『ノルウェイの森』が読めるようになったのか、と。
あれ以来、いまだに『海辺のカフカ』は読めていない。軽くトラウマになるレベルで衝撃的だった、背伸びしてむつかしい本を読むのはよくない。もう読めるかな、と思いながらも手に取ることができない。そろそろ「ハルキこわいシンドローム」が完治してくれるとよいのだけれど。やっぱり、まだちょっとこわいです。『村上春樹、河合隼雄に会いにいく』河合隼雄、村上春樹