『失われた時を求めて4ー花咲く乙女たちのかげにII』
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2019-06
それと比べると、たとえば遠くに見えるクリックベックの教会などは、まわりに街が見えず、四方八方を水にとり囲まれ、太陽と波にきらめき、雪花石膏や泡沫となって水面から現れ出たように見える。
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読みかけて思ったことはひとつ「1phraseが長い」。1ページ1phraseなんてこともザラ。めげそうになった。
ただ、この長ーい1phrase、読んでいくと不思議な感覚にとらわれる。例えば普段、自分が物を見たり考えたりする時、いちいち文にはしない。その感覚になる。1人称小説であるため、読み手は「私」の視点からストーリーを解することになる。「私」が意識した物が次々流れてくる。長い1phraseから「私」がどのように視線をめぐらし何を意識しどう捉えたのかを追える。思考のとりとめのなさ、主観的視点の流れが表れていると思う。
フランス語は全く分からないけれど、パティスリーにかかわる単語なら少しだけ知っている。madeleine、figue、pomme、kouign amann、paris brest、galette des rois、……たくさん覚えたな。バイトの産物。役に立つ日は来るのかな。フランス語、ちょっとおしゃれな気分になれるし、分かるとうれしい。『失われた時を求めて4ー花咲く乙女たちのかげにII』プルースト