『やってみなはれ みとくんなはれ』
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2020-01
やっと読めた。
伊集院静「琥珀の夢-小説 鳥井信治郎」を読み終えて、サントリーで働いていた人たちが描く鳥井信治郎を読みたいと思って、購入。
明治、大正、そして昭和を生きた鳥井信治郎、サントリーという一大企業を作った男って、部下から見たらどうなんだろう?という思いと、名前は知っているのに作品を読んだことがないというお二方が著者、イラストが柳原良平。これは読むしかないだろうと思って勇んで買ったのは覚えている。
そこから1年半のやっと。
山口瞳と開高健の信治郎への視点は同じでも、描かれ方のテイストが違ってて面白かった。どちらがどうと言うのでなく、作家としてのいい味というか書きグセが心地いい。
信治郎が小説の中だけではなく、社内の人間から見ても、すごく熱くて無茶で、でも、周囲の人たちのことを考えているし、神仏をとても大切にしている。全然その世代を生きていないのに、その姿がありありと想像できて、勝手に一緒に生きてる気がしてきて、感動して涙こぼれるという、のめりこみ感。熱い人って、人が周りに寄ってくるし、そして協力してあげたりもしたくなるんだろうな。信治郎と同じように熱かった過去の上司たちを思い出した。や、過去形でなく、今も熱く仕事してるか!
「やってみなはれ みとくんなはれ」山口瞳/開高健