『あさ』
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2020-01
ネスカフェのCMで初めて知った「朝のリレー」。
誰にも訪れる朝、平和な感じのするこの詩を聞いた時、なぜか戦争が頭に浮かんだ。
本が出版された時、帯にある言葉を見て、その理由がわかった気がした。
「よがあけて あさがくるっていうのは あたりまえのようでいて じつは すごく すてきなこと」
そう、朝を迎えることがあたりまえだと思えないひともこの世界にはいるのだと。
なんとなく、そちらの世界がすごく心に残った。
言葉としてはそんなことは、ひとことも書かれていないのに。
もちろん私の解釈が突飛すぎるのかもしれない。
けれど、詩のいいところは、読み手が存分にその言葉の行間や思いを想像できる自由さがあること。
久々にCMを見て、本を読んだ。
「朝のリレー」以外にもいろいろな「朝」がある。
哀しいことやしんどいことは生きていたら、普通にある。
朝がくることが嫌だと思っていた時があった。
朝がきて安心する時もあった。
とりあえず、日本の朝はというか、私の朝は毎日平和にやってくるだろうと思う。
春の朝、夏の朝、秋の朝、そして冬の朝。それぞれに空気や太陽の光や温度の違いとか、朝の過ごし方とか魅力がある。
毎朝起きるだけで、もうすてきなことをひとつ体験しているのだと感じて、一日を楽しみたい。
明日から新しい仕事始まるし…とこの本を紹介しようと思っていたら、先方の勘違いで来週からでした。
まあでも、新学期気分な今の気持ちを代弁する本として。
「あさ」 谷川俊太郎/文 吉村和敏/写真