『消えそうな光を抱えて歩き続ける人へ』
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2020-12
誰でも、自分の存在にいつも確信を持って生きられる訳ではなくで、所在なかったり、好きなものがわからなくなったり、真っ暗なところから出られない、と思ってしまうことがある。そんな人生のタイミングにこの本があれば。安達茉莉子さんの絵と言葉の本、「消えそうな光を抱えて歩き続ける人へ」。
安達さんが綴るのは、心の奥の静かなところまで潜らないと取り出せない、暗いところにいたことがある人じゃないと見つけられない、繊細な形、淡い色をした言葉。優しいけど、安心して杖にできるような確かさがある。
消えそうな光を抱えて歩き続ける人。それはきっとすべての人のことで、安達さんの言葉に自分のなかの小さな光がちかちかと呼応する。ここに、こんな光があったんだと気づかされる。
「もらい火をして 光をうつしあって そうやって この夜を温めていくのだ」と、まさにその通りに、暗闇の中の焚火にあたるように、灯りとあたたかさをそっと分けてくれる1冊。
『消えそうな光を抱えて歩き続ける人へ』安達茉莉子 ビーナイス