『プチ哲学』
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2020-01
また、「過程」の話をする。
ああそう、好きなんだねって気持ちで聞いてほしい。この本に出てくるプチな哲学は全部好きなんだけども
とりわけ「魔法の杖」のお話が好きである。憧れのあの子と一生を添い遂げたいという彼の願いを
年をとったあの子の隣に並び立つことで叶えたり、
バナナをお腹いっぱい食べてみたいというまた別の彼の願いを
満たされたお腹を与えることで叶えたり。
(これは佐藤雅彦のあの絶妙なイラストじゃないと伝わらないのでぜひ読んでほしい)
過程を重要視するタイプと
結果が見えればそれでいいじゃないかというタイプの
わかりやすい対比のお話。突然だが、わたしは国語という科目が好きだ。
根っからの文系というやつ。もうちょっと詳しく言ってみると、
テストの解答用紙に目を通して、30文字程度のマス目解答欄を見つけると「ウッ」となって
すごく幅の広いカッコの解答欄を見つけると「ヨッシャ」となる人間だ。たぶんこの説明の仕方がすでに物語っているのだが、
とにかく説明したがりなのだ、わたしは。
主人公の心情を表す30字ピッタリの表現を文中から抜き出すより
自分がこれまでの授業で読み解いてきた主人公の心情を
文中の表現を織り交ぜながらいかにうまいこと説明できるかに燃えるのだ。
…何と闘っているんだ、わたしは。自分の言葉で正解を導きたいし、
自分の言葉で相手を納得させたい。
自分の言葉でかくかくしかじかをイチからジュウまで説明したいし、
自分の言葉で、自分の言い方で、自分の頭の中をありのままぶちまけたい。それは逆を言えば「簡潔に述べられない」ということかもしれないけれど、
思ったことが全部口から出ちゃったって、勝手にペンが動いちゃったっていいじゃない!
そんな屁理屈を考えながら今日も生きている。だから結果だけなんてもったいない。
過程も含めて、全部楽しまなくっちゃ損。
一回、その杖を置いてみてもいいかもね、魔法使いさん。『プチ哲学』佐藤雅彦・著