『わたしは生きてるさくらんぼ』
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2020-01
2019年1月から7月まで BIBLIO APARTMENTの405号室に住んでいた方の本棚にあった一冊
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こどもの頃、世界や他者との境界があいまいで今よりずっと溶けあっていた気がする。
仲良しの男の子にはある(股の間に)ものがどうしてわたしにはないの?母に聞いたら、あなたは女の子だからしょうがないのよ、って。小さなわたしはその事実がひどく悲しかったらしく、やだ!わたしも○○欲しいー!と駄々をこねて号泣し母を困らせたことがある。
絵本の女の子より幼い年齢だったけどよく似た感覚を持っていた気がして、読むとどこかなつかしく、瑞々しい感性が湧き出すように心が透明になっていく。
なんにでもなれるし、何色にも染まることができるし、まいにち新しくなる。こどもはそうやって世界と溶けあって遊んで、じぶんというものを見出していくんだろう。
今も昔も、わたしはいつもわたしを生きていて。それをどこかでずっと哀しくさびしく感じていたんだけど、おとなになるにつれて感覚は変わっていった。ミクロでみてた世界をマクロでみられるようになったみたいに。わたしはわたしを生きることが少し誇らしく思えるようになったし、じぶん以外のなにかになるより、まいにち新しいじぶんを生きて、世界と向かい合って遊び、じぶんというものを育んでいきたいと思う。
かつてのちいちゃな女の子だったじぶんに会いに行くような絵本。
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「わたしは生きてるさくらんぼ」 デルモア・シュワルツ 文 バーバラ・クーニー 絵 しらいしかずこ 訳