『じつは、わたくしこういうものです』
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2020-01
2019年1月から7月まで BIBLIO APARTMENTの405号室に住んでいた方の本棚にあった一冊
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世の中にある様々な職業。思わず、なんですかそれ?と聞きたくなるものもいっぱいある。世の表裏でひそやかに働く人達とその職業、そこに想いを馳せることは世界と人の、多様性と可能性を知ることなのかもしれない。
クラウドコレクターでクラフトエヴィング商會を知って以来、次々に作品を読んだ。まさに性癖に刺さるってやつで、そのどれもがただのフィクションとはちょっと違う、進んで騙されたくなるような、もしかしたらこんな世界もあるのかもしれないと真実の可能性を残しておきたくなるような、摩訶不思議な魅力を感じた。知的でユーモアいっぱいの大人の空想遊びって感じ。
その中でもこの本は、「わたくし」にフォーカスをあてたもの。さまざまな”架空の”職業、それを営む人のインタビュー集。じぶんもやってみたいと思ったのは、月光密売人、シチュー当番。チョッキ食堂にはぜひ行ってみたいし、哲学的白紙商、三色巻紙配達人、地暦測量士も興味深いなあ。
どこかで実在していそうな、想像力をくすぐるなんともいい塩梅の職業たち。いかにお金を稼ぐかより、いかに生きるかを考えたくなる。思ってるよりずっと世界は広くて、人はなりたいものになれるのかもしれない。
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「じつは、わたくしこういうものです」 クラフト・エヴィング商會