『尼のような子』
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2020-01
2019年1月から7月まで BIBLIO APARTMENTの405号室に住んでいた方の本棚にあった一冊
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少年アヤちゃんの紡ぐ言葉は、いつだって心の裏側のやわらかくて湿っけの高いところから響いてくる。それでいておもちゃの宝石みたいに純粋でまっすぐでせつなくて可愛くてきらきらしていて。美しい、と感じる。たとえばそれがプラスチックでできていても、宝石は完璧な世界を描いて凛としているんだ。
笑み麗しいお姫様、勇ましい王子様、エルフに憧れる泥まみれのコボルト、無邪気なフェアリー、世界を眺めうたう吟遊詩人。ほんとの登場人物より少年アヤちゃんって1人の人間の中にこそ多様な側面がみえる。
ファンタジーみたいで凶暴なリアル、切実な欲望と懺悔、儚くも鮮烈な日常。ありのままのじぶんを真摯に生きる姿は、強いエモーションを引き起こして惹かれずにいられない。なにかを深く愛し、時に恐れては下痢をする、その光も闇も愛おしい。セクシャルマイノリティの葛藤は計り知れないけど、そうそう、生きるってこんな感じ。
この本は日記である。
少年アヤちゃんっていうヒリヒリしたドラマチックな人のおはなし。
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「尼のような子」 少年アヤ