『夫婦善哉』
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2020-01
BIBLIO APARTMENTに遊びに来てくれたニワさんのおきにいりの本
『夫婦善哉』は、「めおとよきかな」とも読める。表題は「夫婦」とあるけれど、蝶子と柳吉が「めおとぜんざい」に行く場面、蝶子の語りである地の文や会話文は「女夫」となっている。ここに『夫婦善哉』で描かれる「めおと」像が表れていると思う。書記言語である小説の綾は、表記の多様性だと思っている。だからこそ、表記のちがいは何かしらの意図があってなされている、と思う。ふとした思いつきにすぎないけれど、「夫婦」ではなく「女夫」であるのは、蝶子と柳吉なりの「めおと」が成ったことを示唆すると思う。たしかに、蝶子と柳吉はいわゆる「ふうふ」ではない。でも2人なりに「めおと」になろうとして、2人にとっての「めおと」の形が最後の場面に表れているんじゃないのかな、と。「夫婦善哉」、「めおとよきかな」とも読めるのではないでしょうか。
くどくどと書きましたが、今無性にぜんざいが食べたいです。
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『夫婦善哉』 織田作之助