『二十世紀<上・下巻>』
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2020-01
先日、橋本治さんがお亡くなりになった。「桃尻娘」をはじめ、著作も多数ある作家だが、ほとんど読んだことがない。作品の印象というより、ちょっと強面だけど人情に厚そうな雰囲気を漂わせている著者近影の方が強い印象を残している。簡単に言うと、訃報のニュースをYahoo!ニュースで見たとき、パッと橋本治さんの顔が出てきた。
そんなことはどうでもいい。橋本治さんの作品で唯一読んだことがあるのが「二十世紀(上・下巻)」。内容は、1901年から2000年までを、1年ごと振り返るというもの。「二十世紀末に起こった日本の金融システムの危機は、十八世紀の産業革命に由来する必然の結果だ」という結論が象徴している通り、乱暴だが簡潔に言うと、例えば第二次世界大戦が起こった理由も、第一世界大戦が起きたからであり、すべては連続しているのだ。何も突発的に始まらない。全てのできごとと、できごとはつながっている。
そういった意味で本書を楽しむおすすめの1つとしては、下巻の最後から読むこと。そもそも歴史の勉強も、現代から遡ってやっていくとより理解が深まる。人類の歴史上のあらゆるできごとは点では存在しない、連続した点がつながって線となり今があるのだから。
というわけで、冒頭、橋本治さんの作品をほとんど読んだことがない、顔面しか印象がないといったのはウソだ。かなり影響を受けている。橋本治さん、どうぞ安らかにお眠りください。
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『二十世紀<上・下巻>』橋本治