『びゅんびゅんごまがまわったら』
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2020-01
こうすけがあそびばでケガをしたため、あそびばに行けないよう鍵がかけられてしまい、遊べなくなったかえで小学校のみんなは、新しい校長先生に直談判をすることに。でも、あまのじゃくな先生は、「びゅんびゅんごまをまわせるようになったらね」。
練習して校長先生に披露すると、「次は2個まわしてみようか」と話が進んでいきます。
仕事を始めて何年も経ち、自分以外の誰かに仕事を教える時、つい要領のいい方を最初に教えてしまう。それはきっと、教える回数や仕事にかかる時間の効率化にはつながっている。でも、相手に考えさせたり、工夫させたり、いろんなやり方を試してみようと思わせる思考能力や小さな成功体験を、実は奪っているのかもしれないとも思っていた。
が、時間も人も限られた中で仕事を終わらせていくことを最優先にしていると、自分のそんな考えは自然と隅に追いやっていた。
ということをなぜか児童書を読んで思い出しました。この本を買った頃はまだ自分も下っ端でそこまで人に仕事を教えることもなく、気にも留めなかった。自分の立場が変わることでまた本の面白さは変わってくるというのが、やっぱり本を読んでいて面白いことだなぁと思う。
今は自分が教わる立場にいて、基本を教えてくれる人、応用を教えてくれる人と様々な中、どうやったらあの人みたいに仕事ができるのか、どんな風に準備をしているのかとか、自分の仕事をしつつも見られるようになってきて、ちょっと面白さが出てきた。
校長先生から与えられたこまをまわすという課題を一生懸命やる子ども、遊びはこまだけじゃない、遊びにも向き不向きがあると主張する子ども、子どもたちがそれぞれの方法で校長先生を説得しようとする姿がやっぱり本来の人間が持つ向上心であり、工夫を重ねるその考えや行動のひとつひとつが現代の暮らしを作っているのだと思う。
一部の学校では今日から新学期。
私もこれからも何か新しいことを学んだり、考えたりできる人生を送っていきたい。
「びゅんびゅんごまがまわったら」宮川ひろ 作 / 林明子 絵