『GOSICK』
-
2020-01
「湧き出る"知恵の泉"が教えてくれたのだ」
・
少年少女小説には、キャラクターの「アイデンティティの確立」というテーマが広く見られる(と思う)。
ヴィクトリカは、少女小説の「少女」像の系譜ー閉じこめられる少女や、支配される少女ーを引継ぐ。
一方、「灰色狼」の血脈を継ぎし彼女は、一弥を媒介にして、古来の「少女」らとは異なる一面を見せる。
迷路と高層の表象に、それが織り込まれている。
ヴィクトリカが閉じこめられている図書館には、外界の人物が、迷路を通って、登って、彼女に会いにいかねばならない。
はじめは、彼女が自ら外に出ることはなく、また図書館に戻っていってしまう。そんな彼女が、自らの「アイデンティティ」を求めて、成長していく。
そんなヴィクトリカと一弥のキュートでほっこりするやりとりもたのしみだったりする。
『GOSICK』桜庭一樹