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BIBLIO APARTMENTに訪れた方が、今回そっと教えてくれたのは「小鳥書房」。場所は東京・国立。JR「谷保」駅から4分ほど歩いたダイヤ街商店街にあります。

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ひとり出版社を営みながら本屋も展開している小鳥書房。「たったひとりの誰かが心から喜んでくれる」という想いを持って本づくりするために立ち上げたそうです。目指しているのは、誰かの思いを誰かに届ける郵便屋さんのような出版社。

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そんな小鳥書房がつくったいくつかの本。詩集のように美しい絵本「モノポの巣」、保護司として活動する広島の「ばっちゃん」による料理詩集「ちゃんと食べとる?」など、「この人にこんな本を届けたい」「著者の思いを100年先まで残したい」と強烈に心をつき動かされ、つくるべきと感じた本の出版を行っています。

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小鳥書房を立ち上げた落合加依子さんは、本の編集者をしています。その作業を行っているのは、本屋さんのカウンターの向こう側。たったひとりのための本をつくり、それを届けるための本屋さんがはじまったきっかけはなんだったのでしょう。代表の落合さんに、いくつか質問をしてお答えいただきました。

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本屋さんをはじめたきっかけを教えてください
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自分の住まいがある谷保から、本屋さんがなくなってしまったことがきっかけです(実は小鳥書房は、谷保で唯一のまちの本屋さん)。Amazonを使う機会が多くなった今も、やはり本屋で「本を選ぶ」という行動は特別なもの。自分の生業として、本を作って届ける編集の仕事をしているので、なおさらまちから本屋さんをなくすわけにはいかなかったのです。

この場所を選んだのはなぜですか?
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2015年4月に地域に開かれたシェアハウスである「コトナハウス」 をつくったことがはじまりです。コトナハウスで地域を巻き込んだ活動をはじめたことで、谷保のダイヤ街商店街との縁が生まれました。ある年、ダイヤ街商店街の新年会で、私がふと「いつか谷保に本屋さんをつくることが目標なんです」と話したところ、老舗カメラ屋の店主さんが、 「それはいいね!できればダイヤ街でつくってほしいけどな」と言ってくれました。もしかするとご本人は覚えていないかもしれません。何気ない会話だったけれど、私にとっては商店街の仲間として認めてもらえた気持ちになり、たまらなくうれしかったです。いつかは、商店街で今も活動し続けるおじいちゃん店主さんたちに混ざって、ここで本屋さんを開こう、と。そんなとき、コトナハウスのお向かいにある元スナックだった物件が売りに出されました。今が本屋をはじめるタイミングだと思い、その場所を買って2019年1月26日、小鳥書房の本屋さんをオープン。商店街のお店で焼き鳥や豆腐やパンを買うように、日常の中で当たり前に本を買っていただけるお店になれるよう、活動しています。


他の本屋さんとここが違う!というのを教えてください
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小鳥書房は、そもそもひとり出版社なので「出版社の本屋さん」としてつくりました。「編集者がいる本屋さん」を楽しんでくださるお客さんが多くいらっしゃいます。お店には自分で本を自費出版してみようと考えている方などが、編集の相談に来ることも。さらに、偶然来ていたデザイナーさんやカメラマンさんと一緒に、本をつくるための話し合いがその場で行われることもあります。「本をつくる」ということを通した出会いによって、新しい作品が生まれることもある不思議な本屋です。 また、本屋をスタートさせる前からコトナハウスで地域の活動をしていたこともあり、すでにある程度コミュニティができていました。そのため地域の子どもから高齢の方まで「かよちゃーん!」と気軽に訪ねて来てくれて、自分の居場所としておしゃべりを楽しんでくれています。


こだわっていることはありますか?
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現在、出版や本屋に関心がある方をインターンとして常に受け入れています。店主が一方的に教えるのではなく、お互いに学び合えたらと。インターンの受け入れをする理由は、さまざまな人が自分ごととして運営に関わってくれることで、本屋としても出版社としても、さらに縁が広がっていくと思っているからです。


今後やっていきたいことは何ですか?
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小鳥書房から出版する本の「公開編集会議」を定期的に行っているので、今後も続けていきたいです。本づくりに興味をもつ方に広く参加してもらうようにしていて、著者と編集者で本づくりを完結させるのではなく、読書目線のある編集をしていくべきと考えています。それは、地域に開かれたコミュニティの場である「コトナハウス」がきっかけとなった本屋だったからというのが大きいかもしれません。また、ダイヤ街商店街で50年以上続く他のお店のように、小鳥書房も50年後まで続いていくお店にしたいです。


たくさんの質問に答えていただきありがとうございました。ぜひ一度遊びに行きたいです。 最後に小鳥書房の落合さんにおすすめ本をご紹介いただきました。

小鳥書房・落合さんのおすすめ本
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『おじいちゃんのノート』(セブン&アイ出版)
『モリー先生との火曜日』(NHK出版)
『奇界紀行』(KADOKAWA)

落合さんが編集に関わった、4月末発売の妖怪専門新雑誌「怪と幽」( KADOKAWA)もおすすめだそう。